Casablanca REPORTカサブランカ 視察ブログ
【視察レポート】モロッコでLGV(高速鉄道)&特急乗車体験(2024年10~11月視察②)
こんにちは。トラベルコンサルタントの阿部です。2024年10月~11月、トラベルコンサルタントの大石、角、宮本と共に、モロッコを周遊しながら視察してまいりました。今回は、モロッコでの移動に利用した鉄道についてレポートしてまいります。
※下記内容は、2024年10月視察時点のものです。
◆カサブランカからタンジール行きLGV(高速鉄道)に乗車!
≪利用した列車:LGV1045便 定刻 カサブランカ17:00発→タンジール19:10着≫
私たちは、日本からのモロッコに到着したその日に、 「LGV」と呼ばれる(通称:アル ボラク)高速鉄道を利用してカサブランカからタンジール(タンジェ)へと移動することとなりました。
この路線は、モロッコ国鉄が計画した高速新線計画の第1弾となった路線で、現在は、一部路線は在来線の線路をそのまま利用し、タンジールとカサブランカ間の350kmを約2時間で結んでいます。全線で、高速新線用の線路の敷設が終わると、同区間は1時間35分で結ばれることになるそうです。
タンジールは、スペインから船で入国する場合の拠点となる町です。そこからそのままLGVに乗ると、カサブランカまでスイスイ!っと移動することができます。スペインとモロッコを周遊する旅行プランの場合には、とても重宝する移動手段だと思います。
今回は、その逆の移動となりました。モロッコで初めて鉄道に乗車したのがこちらの区間です。その際の利用駅と移動時の様子についてレポートしたいと思います。
*カサブランカのカサ ヴォヤジャー駅について
カサブランカには3つの駅がありますが、高速路線であるLGVは「カサ ヴォヤジャー駅」から出発となりました。空港からは30分近くかかったでしょうか。
まず、カサ ヴォヤジャー駅に着いた時には、その駅舎にびっくりいたしました。アフリカ大陸の駅という、どことなく田舎なイメージも、アラビアの雰囲気もまったくない、近代的でデザイン性にも優れた駅舎になっていました。駅舎内に入ってみると、たくさんのお店も並んでおり、さすがに400万人が暮らす大都市の主要駅だな、といった充実ぶりでした。
また、私たちは時間がなく利用することができませんでしたが、LGVの1等車に乗車する方が利用できるラウンジ「アル ボラク ラウンジ」も設置されておりました。
*車両について
LGVの車両は、フランスTGVを製造しているアルストム社が、モロッコの状況に応じて製造したものなので、外見はフランスを走るTGVそっくり。流線型のスタイリッシュな外観となっています。では、車両を紹介してまいります。
車両は、全車両が2階建てで、1編成6両での運行となっていました。今後の利用者の増加によっては、もっと長い編成になるかもしれません。車両ごとに1等車と2等車に分かれていて、車両の前後に階段がある造りです。
こちらが1等車の客室内です。座席は1席-2席の、横3列で、かなりゆったりとしています。各車両に1組づつ、2名と4名のボックス型シートがありました。
こちらが2等車内。座席は、2席-2席の、横4列です。こちらにも、4席のボックス型シートが1車両に2組あります。トイレは、各車両に設置されていて、とても清潔でした。
1編成内に1両、カフェテリアも併設されています。ドリンク、スナック類、パンが売られていました。電子レンジでの温めも可能でした。
私たちは、先頭1号車の1等車両の1階へと乗り込みました。私の席はおそらく、車椅子の方用に広くスペースがとられていた席でしたが、そのスペースは、他の方々のスーツケース置き場と化しており、そのままでは席に座ることができませんでした。
各車両の1階、2階に、それぞれ荷物置き場はあるのですが、絶対的にスペースが狭く、さらに2階まで持ち運べるだけ階段のスペースが広く取られてもいないので、2階の方も1階に置かざるを得ないのだと思いました
*出発
定刻の17時、LGV1045便は遅れることなく動き出し、その後しばらくの間は、大西洋の海岸線に沿って走っていきます。車窓からも、大西洋を眺めることができました。社内検札があり、その際は乗車券に表示されているQRコードを提示しました(スマホ内のPDFデータでも読み取りできました)。
日が暮れてからは、たまにポツポツと現れる街灯の灯り以外は、真っ暗の中の走行です。日本を出発してから、軽く丸1日過ぎていましたので、早くベッドで寝たい、それだけを思いながらの道中ではありました。
*タンジェ ヴィル駅に到着
そして、列車は19時15分、予定の時間にほぼ遅れることなく、タンジールにある「タンジェ ヴィル駅」へと滑り込みました。時間通り、所要時間も2時間ちょっとでの到着です。確かに、モロッコが誇る高速鉄道ではありましたが、やっと着いた、そんな感情ではありました。
◆マラケシュからカサブランカ行き 在来線特急に乗車!
≪利用した列車:TL606便 定刻 マラケシュ07:50発→カサブランカ10:28着≫
続いては、マラケシュからカサブランカ行きに乗車した際のレポートとなります。
*マラケシュ駅について
乗車のために、「マラケシュ駅」には朝7時20分頃に到着。日の出の時間となり、ヤシの木が並ぶ駅前の広場がとても幻想的でした。また、近代的で整備された駅舎も、アラブの雰囲気がありました。マラケシュ駅舎内には、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、カフェのほか、売店や通信会社のショップがあり、2階はフードコートとなっていました。改札を通りぬけて、ホームへと向かいました。
*車両について
車両を紹介してまいります。1等車と2等車の2クラス編成となっています。シートは、オープンシートではなく、コンパートメントタイプ(車両の片側に通路があり、片側が個室で区切られているお席)。6名以上での利用でない限りは、他の方とのいわゆる相部屋の状況となります。
また、LGVのような、カフェテリアや食堂車などはありませんが、車内販売がございます。温かいコーヒーとスナック類のようでした。どちらも、日本ではすでになくなってしまっているサービスですので、これでも海外で鉄道に乗っていることを実感できるかと思います。
*出発
定刻からは7分遅れ。でも、ほぼ定刻通りの07時57分に出発。すぐに車内検札がありましたが、今回もQRコードの読み取りとなりました。出発してすぐ、進行方向右側の空に、たくさんの気球が上がっているのが見えました。気球にも乗ってみたいなぁ~と思いながら、しばらく眺めておりました。
その後は、ほぼ平坦な大地を駆け抜けていきました。秋も中盤の時期でしたので、見渡す限りの畑は、すでに収穫が終わったあとの茶色の地肌だったり、雑草が少し生えたような薄緑の光景が広がっていました。
それから、車内で出たごみを集めるスタッフも、何度か車両をまわって来られていました。これには正直びっくりいたしました。モロッコ視察の旅では、それまでも、町にゴミが落ちていることが本当に少ないと感じていましたが、この事からも、環境衛生面にとても力を入れているように思いました。
トイレは、それ自体はきれいでしたが、そのまま線路へと流れるタイプです。紙の用意はありませんでした。
*カサ ヴォヤジャー駅に到着
そして、10時28分に1週間ぶりのカサブランカにある「カサ ヴォヤジャー駅」へと到着いたしました。在来線ではありますが、大きく揺れることもなく、たいへん快適な車窓の旅を終えることができました。また、マラケシュ駅の出発は少し遅れていましたが、所要時間短縮で、到着は定刻通りとなりました。遅れをしっかりと運行で取り戻すあたりは、日本らしいといいますか、かなり信頼感が増しました。
◆実際に乗ってみての感想
実際に乗ってみた感想としましては、それまでイメージしていたものとはだいぶ違っておりました。
1.時間に正確
なんとなく海外の鉄道、しかもアフリカ大陸を走る鉄道なので、遅延や運休も多いように思っていましたが、2度ともほぼ定刻通りの出発、到着で、予定していた計画が狂わされることはありませんでした。
2.乗車中の揺れはほとんどない
広大な平原を走るためか、急カーブやアップダウンが少なく、大きな揺れはほとんどありませんでした。それから、線路の状態も非常に良く、レールのつなぎ目での振動や騒音もまったく気になりませんでした。日本の山間を走る鉄道路線の方が、よっぽど揺れるかと思います。
3.駅が清潔で利用しやすい
どの駅も、たいへん近代的で清潔に保たれておりました。また、改札前はきちんと整列がなされていて、ごった返すようなこともありませんでした。
なお、現在、モロッコの鉄道の事前予約は、外国のクレジットカードでは、ネットで決済ができません(2024年10月視察時点)。
トラベルコンサルタント 阿部 正寿
高速鉄道も、在来線も、とても快適な鉄道の旅となりました。少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。モロッコへのご旅行お考えの方、そしてモロッコを鉄道で旅をしてみたい思われた方、お気軽にティースタイルまでお問い合わせください。 鉄道好きな方のお問い合わせをお待ちしております。
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