【視察レポート】専用車で効率よく回る! 絶景が広がるトスカーナ地方の魅力的な街巡り(イタリア/2025年3月視察①)

こんにちは。トラベルコンサルタントの角です。2025年3月、イタリア政府観光局、エミレーツ航空主催によるトスカーナ地方の視察旅行へ行ってまいりました。視察旅行では、トスカーナ地方の美しい自然や丘の上の小さな街、地方色豊かなグルメなど、さまざまな魅力を堪能させていただきましたので、その様子をご紹介させていただきます!

また、トスカーナ地方の小さな街を巡るには、公共交通ではアクセスが難しい場所もありますので、車のチャーターやレンタカーがおすすめです。レポートの最後には、弊社でも手配の多い、フィレンツェ発着の専用車(プライベートカー)で巡るプランをご提案しておりますので、合わせて参考になさってみてください!

標高324mの丘の上にある世界遺産の街サンジミニャーノも訪問しました!

標高324mの丘の上にある世界遺産の街サンジミニャーノも訪問しました!

フィレンツェからシエナまでの広い丘陵地帯を「キャンティ地方(Chianti)」を呼び、中世時代から、ブドウとオリーブの栽培が盛んに行われています。車窓からは、ブドウ畑やオリーブ畑、丘の上に小さな街が点在し、ポストカードで見るような景色が続きます。

広い丘陵地帯キャンティ地方

広い丘陵地帯キャンティ地方

イタリアワインを代表する銘柄のひとつである「キャンティ」や「キャンティ・クラシコ」は、この地方から産出されています。 特にキャンティ・クラシコは、イタリアワイン最高格付けDOCGに認定される赤ワインで、フレッシュな酸と、果実味のバランスに優れた、世界中で愛されるワインのひとつです。

トスカーナワインといえばキャンティが定番の赤ワイン! 果実味があって飲みやすいワインです

トスカーナワインといえばキャンティが定番の赤ワイン! 果実味があって飲みやすいワインです

トスカーナ地方の定番の前菜盛り合わせ。トマトやレバーペーストのブルスケッタ、サラミや生ハム、ペコリーノチーズ

トスカーナ地方の定番の前菜盛り合わせ。トマトやレバーペーストのブルスケッタ、サラミや生ハム、ペコリーノチーズ

「サンジミニャーノ(San Gimignano)」は、標高324mの丘の上にあります。9~12世紀には、ローマへの巡礼路、フランチジェナ街道上の交通の要にあり、サフランの生産と交易で発展しました。要塞に囲まれたサンジミニャーノ歴史地区は、世界遺産に登録されています。

黄金期だった中世時代に、貴族や豪商たちが、権力や富の象徴として競って建てた高い塔が空に向かって立ち並ぶ姿が、“中世のマンハッタン”と呼ばれる塔の街、サンジミニャーノのユニークなシルエットを創り上げています。中世時代に72本あった塔のうち、現在は14本が残っていて、市庁舎横のグロッサの塔は、塔の上まで階段で上ることができ、素晴らしいパノラマを望めます!

現在残っている塔は14本

現在残っている塔は14本

グロッサの塔

グロッサの塔

ちょっとひと息、ジェラートはいかがですか? ジェラートコンテストで2年連続チャンピオンになったお店、「ドンドリ(Dondoli)」は、サンジミニャーノの中心部、チステルナ広場にあります。また、サンジミニャーノは、ヴェルナッチャという品種による白ワイン「ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ(DOCG)」の銘醸地です。すっきりとした辛口の、この地域で有名な白ワインです。

お味はもちろん、ボニッシモ(めちゃくちゃおいしい)!

お味はもちろん、ボニッシモ(めちゃくちゃおいしい)!

ヴェルナッチャ ディ サンジャミニャーノ

ヴェルナッチャ ディ サンジャミニャーノ

ドンドリ 公式HPはこちら

「シエナ(Siena)」の街は、3つの丘に渡って造られ、7kmもある城壁に囲まれています。トスカーナ地方では比較的大きめの街で、旧市街(歴史地区)は世界遺産に登録され、12〜15世紀に栄えた都市国家時代の、美しいたたずまいが残っています。

中世時代は、近くのフィレンツェと肩を並べる強国で、何度も戦い合った歴史を持っています。その熱い闘志は今でも冷めないようで(笑)。1年に1度、コントラーダ(シエナを分ける17の地区)対抗戦のパリオ祭りが有名です。旧市街の中心で、中世の広場としてはヨーロッパ最大と言われるカンポ広場が、メイン会場になります。

フィレンツェからは、直通バスで約1時間のアクセスです。ちなみに、打倒フィレンツェ!の対抗心も、今だに根強いものがありますので、シエナでフィレンツェを良く言うことは禁物! シエナ滞在中はお気を付けくださいね(笑)。

カンポ広場

カンポ広場

シエナのアイコン、マンジャの塔にも階段で上ることができます

シエナのアイコン、マンジャの塔にも階段で上ることができます

「シエナ大聖堂」は、近隣のピサやフィレンツェと競いながら、力をつけてきた都市国家シエナの象徴! イタリアで最も美しいファサード(正面)は西陽のさす時間が美しいです。

シエナ大聖堂

シエナ大聖堂

大聖堂の内部は黒と白の縞模様が特徴的

大聖堂の内部は黒と白の縞模様が特徴的

世界遺産に登録されている「オルチャ渓谷(Val'dorcia)」は、オルチャ川流域に広がる丘に糸杉が連なる牧歌的な風景と、フランチジェナ街道に沿って発展した城塞都市が点在し、“これぞトスカーナ!”というような、美しい景色が広がるエリアです。

トスカーナの人々によって造形された糸杉の道

トスカーナの人々によって造形された糸杉の道

こちらは、農家⁉と思えないアグリツーリズモ(※)のパラッツォ マサイーニ

こちらは、農家⁉と思えないアグリツーリズモ(※)のパラッツォ マサイーニ

※アグリツーリズモとは、Agricoltura(農業)とTurismo(観光)を合わせた言葉で、農家が、敷地内のお部屋や食事を観光客に提供する宿泊施設のことです。

「サン クイーリコ ドルチャ(San Quirico d'Orcia)」は、オルチャ渓谷の中心に位置する、中世の城壁に囲まれた街。街の中心を、ローマへの巡礼道 フランチジェナ街道が貫いていて、中世時代には栄えていたそう。今では、時が止まったような街並みが残る静かな田舎町です。

城壁の内側には、の~~んびりと穏やかな空気に包まれた街

城壁の内側には、の~~んびりと穏やかな空気に包まれた街

かつては重要な街道だったという街のメインストリートも今は静か

かつては重要な街道だったという街のメインストリートも今は静か

この街で利用した、庶民的なトラットリア(レストラン)の料理が絶品でしたので、ご紹介しますね。

ランチで利用した「トラットリア オセンナ(Trattoria  Osenna)」の郷土料理は、近くの契約農家からの新鮮な素材を使用しているので、調理はシンプルでも、とにかくすべてがおいしく、このお店に行くために再訪したいくらいでした♪

ランチで利用した「トラットリア オセンナ(Trattoria Osenna)」の郷土料理は、近くの契約農家からの新鮮な素材を使用しているので、調理はシンプルでも、とにかくすべてがおいしく、このお店に行くために再訪したいくらいでした♪

トスカーナ地方特有のピチは、もっちりとした太めのパスタで、日本人好みの食感です。

手前:ピチ アリオーネ(ニンニク、トマトソース)。奥:ピチ アッレ ブリチョーレ(パン粉をまぶしたオリーブオイルソースのピチ)

手前:ピチ アリオーネ(ニンニク、トマトソース)。奥:ピチ アッレ ブリチョーレ(パン粉をまぶしたオリーブオイルソースのピチ)

左上:トマトソースのポルペッテ(ミートボール)。右上:イノシシ肉の赤ワイン煮。手前:ラ タリャータ ディ コントロフェレット アル ローズマリーノ(サーロインステーキのスライス、ローズマリー添え)

左上:トマトソースのポルペッテ(ミートボール)。右上:イノシシ肉の赤ワイン煮。手前:ラ タリャータ ディ コントロフェレット アル ローズマリーノ(サーロインステーキのスライス、ローズマリー添え)

また、レストランが経営する食材店「カンティーナ オセンナ(Cantina Osenna)」もあり、レストランで提供しているハウスワインやオリーブオイルを購入することもできます。

トラットリア オセンナ 公式HPはこちら

世界遺産の小さな街「ピエンツァ(Pienza)」は、海抜481mの丘の上にあり、街の端にあるテラスからは、オルチャ渓谷の丘陵地帯や、アミアータ山などの絶景が見渡せます。

もともとは、コルシニャーノと呼ばれる田舎町でしたが、15世紀にこの町からローマ法王に選出されたピオⅡ世の“故郷の町を美しいルネサンススタイルの理想郷にしたい”という試みのもと、ピエンツァ(ピオⅡ世の名前が由来)として生まれ変わったそうです。そして、ピエンツァは、羊のミルクを使ったチーズ「ペコリーノ ディ ピエンツァ」の名産地です。

ルネサンス様式で品のある大聖堂

ルネサンス様式で品のある大聖堂

美しいオルチャ渓谷のパノラマを望めるテラス(カセッロ通り)

美しいオルチャ渓谷のパノラマを望めるテラス(カセッロ通り)

牧歌的なオルチャ渓谷とアミアータ山

牧歌的なオルチャ渓谷とアミアータ山

トスカーナ地方は陶芸も盛ん!それぞれの街に必ず陶器屋さんがあるほどです。

トスカーナ地方は陶芸も盛ん!それぞれの街に必ず陶器屋さんがあるほどです。

「モンテプルチアーノ(Montepulciano)」は、キアーナ渓谷の丘の上に位置し、この辺りでは比較的大きめの街です。地図上では、ピエンツァの隣町になりますが、オルチャ渓谷の雰囲気とは違う景色が広がるエリアです。

ここも、中世時代の要塞都市の様子が残る雰囲気のある街ですが、モンテプルチアーノは、貴族のワインとして知られる「ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ」の産地として世界的に有名な街です。古い街には、古めかしいカンティーナ(ワイナリー)や、ワインショップが軒を連ねています。ワイン好きの方にとっては、数時間の滞在では足りないかもしれませんね(´艸`*)

古い宮殿の地下にあるワイナリー「カンティーナ ストーリカ タロサ(Cantina Storica Talosa)」は、16世紀のカーヴの姿が残っています。カーヴとは、ワインの熟成、貯蔵のために寝かせておく場所のことです。

古い宮殿の地下にあるワイナリー「カンティーナ ストーリカ タロサ(Cantina Storica Talosa)」は、16世紀のカーヴの姿が残っています。カーヴとは、ワインの熟成、貯蔵のために寝かせておく場所のことです。

モンテプルチアーノのワイン、ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノは、イタリアワイン格付けの最高ランクDOCGに一番最初に認定されたワインとのことです。

赤ワインのブドウ品種は、プルニョーロ ジェンティーレというイタリアの固有品種。実は、呼び方は違えど、キャンティワインの主要品種 サンジョヴェーゼと同じです。その味わいは、キャンティワインよりも香り高く重厚感があり、長期熟成タイプの赤ワインです。

ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ

ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ

プルニョーロ ジェンティーレというイタリアの固有品種を使用

プルニョーロ ジェンティーレというイタリアの固有品種を使用

「アレッツォ(Arezzo)」は、1968年からの歴史を持つアンティーク市やルネッサンス芸術の巨匠 ヴァザーリ生誕の地、また、イタリア映画の名作『ライフ・イズ・ビューティフル』の撮影地として知られる世界遺産の美しい街です。

今回は、アンティークマーケットが開かれているタイミング(毎月第1日曜日)で訪れることができ、丘の上に広がる旧市街は、イタリアの人々でにぎわっていました! そして、アレッツォの人達にとって誇るべきルネッサンスの巨匠ヴァザーリを知ることができたり、イタリア トスカーナの魅力を深掘りできたという、印象の強い素敵な街でした♪

アンティークマーケット開催日は、旧市街のいたる所に露店が出ています

アンティークマーケット開催日は、旧市街のいたる所に露店が出ています

骨董品らしいものから生活用品まで、何でもありな感じでさまざまなものが売られています(笑)

骨董品らしいものから生活用品まで、何でもありな感じでさまざまなものが売られています(笑)

美術館はもちろん、教会などでもヴァザーリが手掛けた芸術作品に出会うことができます

美術館はもちろん、教会などでもヴァザーリが手掛けた芸術作品に出会うことができます

ライトアップされた夜の大聖堂は、とても荘厳で印象的でした

ライトアップされた夜の大聖堂は、とても荘厳で印象的でした

最後に、フィレンツェ発着・専用車(プライベートカー)で巡るトスカーナ地方のおすすめルートをいくつかご紹介したいと思います。

トスカーナ地方の個性あふれるユニークな街の魅力を満喫したい方におすすめのルート。世界遺産の歴史地区で中世時代にタイムスリップしたような気分をお楽しみください!

<所要時間:約10時間>
■フィレンツェ出発
↓ 移動約1~1.5時間
■世界遺産 サンジミニャーノを散策<1~1.5時間> 
↓ 移動45分~1時間
■世界遺産 シエナで散策&ランチタイム<2~2.5時間>
↓ 移動1.5時間
■世界遺産 アレッツォを散策<1~1.5時間>
↓ 移動1~1.5時間
■フィレンツェ帰着

まさに某BSテレビ番組の『小さなイタリアの村』に登場するような、のどかで素朴な村を訪れたい方におすすめのルート。王道の観光都市では味わえない時間をお楽しみください。

<所要時間:約10時間>
■フィレンツェ出発
↓ 移動約1~1.5時間
■世界遺産 サンジミニャーノを散策<1~1.5時間>
↓ 移動約1.5時間
■サン クイーリコ ドルチャ「トラットリア オセンナ」でランチ<1.5~2時間>
↓ 移動約20分
■ピエンツァを散策<1時間>
↓ 移動約1時間
■アレッツォを散策<1~1.5時間>
↓ 移動約1.5時間
■フィレンツェ帰着

トスカーナ地方の牧歌的な景色とともに、ワイナリー訪問や郷土料理を満喫したい方におすすめのルート。地方色豊かなイタリアのグルメを味わいつくしてください!

<所要時間:約10時間>
■フィレンツェ出発
↓ 移動約1~1.5時間
■世界遺産 サンジミニャーノを散策<1~1.5時間> 
↓ 移動約1.5時間
■サン クイーリコ ドルチャ「トラットリア オセンナ」でランチ<1.5~2時間>
↓ 移動約30分
■モンテプルチアーノで散策とワイナリー訪問<2~3時間>
↓ 移動約1.5時間
■フィレンツェ帰着

※上記おすすめルートの移動時間や所要時間は目安です。交通状況などで前後する場合もございます。
※ティースタイルでは専用車のみの手配を承ることができません。航空券やホテルなどの手配と併せて承ります。

角 千春

トラベルコンサルタント 角 千春

イタリア トスカーナ地方に点在する丘の上の小さな街や、丘陵地帯の牧歌的な景色を楽しむ、専用車で巡る旅はいかがでしたでしょうか? ティースタイルでは、お客様のご要望に合わせたプライベートツアーをアレンジさせていただきます。

イタリア旅行にご興味のある方は、ぜひお気軽にティースタイルにお問い合わせくださいませ。


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